カジュアル面談のコツ。傾向と対策を解説!
投稿日: 2022/04/07
採用
近年は、カジュアル面談と呼ばれる形式の面談が増えてきました。
私がWebエンジニアとして3回の転職活動を経て、カジュアル面談のコツをまとめてみました。
カジュアルとはいえ事前準備や復習はやはり必要で、聞いておいて良かった点や聞くべきだったと感じる反省点もあります。
転職活動の際に何かしらの参考になればと思います。
カジュアル面談とは
そもそもカジュアル面談とは「通常の選考プロセスの前に、企業と応募者の相互理解を深め、ミスマッチを防ぐために行う顔合わせの場」をさします。
アプローチはどちらからもあり得ます。
- 企業からのアプローチ
- 応募者からのアプローチ
企業からのアプローチ
求人サイトなどに登録し、基本情報やスキルを公開していると、企業からスカウトオファーを受け取ることがあります。
求人件数の規模や企業の特徴などが異なるさまざまなサービスがありますので、複数のサービスに登録しておくとスカウトの可能性が高まります。
当然、知らない企業からもオファーが来ますので「会社説明・事業説明をさせてください」というアプローチとなります。
私が感じる、企業側におけるカジュアル面談のゴールは次の2つです。
- 自社に興味を持ってもらうこと
- エンジニア自ら応募してもらうこと
当然ながら、企業側には応募させる権限はありません。とにもかくにも自らの手で門を叩いてもらうよう促してきます。
※そのくせ選考で落とす残酷なケースも往々にしてありますけど......カジュアルで不採用になった場合は採用担当の責任。選考結果で不採用になった場合は応募者が原因ってことなのでしょう......(苦笑)
応募者からのアプローチ
一般的には、就職・転職活動をしようと思った人が、企業へ選考の応募を出します。
その場合は書類選考など、選考プロセスが始まりカジュアル面談はありません。
ただし、リファラル(つまり社員紹介)では応募者が興味を持ったことがきっかけだとしても、「まずはざっくばらんに会って話してみましょう」ということでカジュアル面談を組まれるケースがあります。
もちろん即応募の流れもありますので、その限りではありません。
コロナ禍になる前は、お食事会と称してお話する機会が多々ありました。このご時世では、オンラインにより1時間程度ですませるケースが多いと思います。
カジュアル面談で何をするか
ざっくりと次の4つをお話します。
- 自己紹介
- 企業の紹介
- 事業・サービスの紹介
- 簡単な質疑応答
そもそも知らない企業からアプローチされるケースが多いので、基本的には「自分のためだけに開いてくれた会社説明会」として考えて差し支えないです。※もちろん選考される人間は他にも大勢いますが......
大手企業の場合は、公開されている募集要項ならびに会社情報がドキュメント化されて事前にURLなどをいただけることが多いので、それらのプレゼンが主になります。
もしスライドも何もない企業があれば、おそらく現場でも言語化できていないことが想定されるので、体よくお断りしましょう。
昨今のオンライン面談では1時間で足りない場合もありますので、お互いに限られた時間内で情報をコミュニケーションできるかもポイントになってきます。
「別日にもう一度カジュアル面談しましょう」と言ってくる企業は、段取りが悪い可能性を疑うと良いかもしれません。
自己紹介
はじめて会う者同士のアイスブレイクの場です。
選考の面談ではありませんのでこと細かく伝える必要はありませんが、一言で人物を伝える場となります。
その後には書類選考、一次面接、二次面接、最終面接と続きますので、ここでは企業側にもっと知りたいと興味を持ってもらえるかまででとどめておきましょう。
企業の紹介
企業からの営業プレゼンの時間です(笑)
調べればわかる内容がほとんどですので、気になった点をかいつまんで質問すると良いでしょう。
「福利厚生で特別休暇をもらえるようだが、実際の消化率はどの程度か」など。
面談ではなく「出張会社説明会」だと思っているご担当者さまは、カジュアル面談の時間をほぼほぼここに費やします。もしくは単にプレゼン慣れしておらずダラダラと棒読みされるケースもあります。
本質である相互理解のための質疑応答の時間をもらえない場合は、カジュアル面談を組む前から行きたいと思っていた会社でない限りは魅力的に映らない可能性が高いです。
事業・サービスの紹介
こちらも企業からの営業プレゼンの時間です(笑)
調べればわかる内容も多々ありますが、開発言語や環境など募集要項にしか載らない内容を深堀りして教えてくれます。
ただし時系列や見栄かどうかは注意して聞いておく必要があります。
「過去の栄光を話していないか」「直近の課題を顕在的なものではなく潜在的なものとしてとらえているか」「未来の羨望だけ語っていないか」など。
自分がこれから携わるサービス・ドメインですので、良いことから悪いことまで深堀りして聞いておきましょう。
簡単な質疑応答
基本的には「企業や事業・サービス、開発について聞いておきたいことはないか」を聞かれます。
事前にいくつか質問を用意しておき、自分が納得のいくための場としましょう。
カジュアルであることを利用し普通なら聞きづらいことを聞いてみても良いかもしれません。
採用活動の温度感が高い企業は「あなたについて」を深く質問してくることもあります。
一応、選考の場ではありませんので、答えたくない場合は適当にあしらっても良いですが、仮に次のステップへ進む場合に備えてある程度は答えて置くほうが無難です。
企業側にしても本人にしても、お互いに興味がないと質問が生まれません。この時点でまったく本人について何も聞いてこない場合は、上司から言われたから採用活動(のふり)をしているだけの担当者もいますのでお断りして大丈夫です。
カジュアル面談は誰と話すか
相手の企業や組織の状況によりさまざまではありますが、大体は偉い人と話をすることが多いと思います。
- 偉い人(CTO、VPoE、VPoP)
- 偉い人(部長、課長、マネージャー)
- 組織内で次期有望株のリーダー
カジュアル面談の特性上、何も知らないはじめましての人に営業トークをする必要がありますので、ある程度ドメインの理解が深い方に説明をいただくことになります。
加えて、営業トークだけでなく技術面での説明が必須ですので、
一概には言えないですが、それ以外の方だといわゆるハズレのケースもありました。
技術色の薄いマネージャーの場合、上司から言われたから採用活動をしているだけの人もいます。実はそこまで近々で募集していなかったり、いざ入ったあとの引継ぎを考えていなかったりもします。
有望株リーダーの場合、新しい人のためではなく場数を踏ませて育てたいのでしょうが、実力不足ゆえプレゼンに時間を使いすぎて質疑応答の時間がなくなるときもあります。
もちろん実際に会ってみないとどんな人かは分からないので、ここで判断するのは時期尚早ではあります。そんなこともあるんだ程度にとどめてください。
事前準備から当日の流れ
カジュアル面談にいたるところから、当日、事後までの流れは次の通りです。
- 企業からのアプローチ
- 日程調整
- 公開情報の確認
- 事前準備(あれば)
- カジュアル面談当日
- お礼メールから次回の約束
1. 企業からのアプローチ
だいたいは求人サービスなどを介してメッセージが送られてきます。話をしてみたい場合は、各サービスの機能を使ってお返事をします。
この時点で個人が特定されていないので(はず)返信するかどうかは個人の自由だと思います。
メッセージもあからさまなテンプレートが多いので、企業側もすべてに返事がくるものと思ってるわけではないと思います。
逆に言えば、ロボット感がないメッセージは優良企業かもしれませんね。※単純にITリテラシーが低いだけの可能性もありますが......
2. 日程調整
企業や求人サービスによりさまざまです。
備え付きの機能を使う場合もあれば、メール形式で日程調整をする企業もあれば、独自で使っているサービスに誘導されることもあります。
何を使っていても大差はないですが、転職活動を複数の企業と並行して行っている場合は日程がかぶらないように注意しましょう。
余談ですが、前日になるとシステムがリマインドしてくれることが多いですが、優良企業は直接リマインドをしてくれることもあります。
3. 公開情報の確認
大手企業は外部の人間でも見ることができる情報を用意してくれていることが多いです。事前にいただいたURLはしっかり確認しておきましょう。だいたい同じスライドをプレゼンされるので余計な質問が減ってスムーズになります。
アドイベントカレンダーやOSS活動などされている企業であれば、中の人を知るいい機会ですし、不特定多数に言語化できる組織かという指標になります。
何もない場合は、募集要項くらいを見ておきましょう。
4. 事前準備(あれば)
おそらくほとんどの場合、事前準備はないと思います。
カジュアル面談の時点では、本人が現場で必要な技術を持っているか知らないでオファーしていることもあります。もし募集要項に書いてある技術を知らない場合は、調べておいて損はないでしょう。
服装もカジュアルで良いので、気にする必要はありません。
最近ではオンライン面談がほとんどですので、Zoom や GoogleMeet に接続できるかは確認しておきましょう。表示名や背景がふざけた名前になっていないかもしっかり確認しておきましょう。
5. カジュアル面談当日
いざ本番です。上に書いた『カジュアル面談で何をするか』を参照ください。
企業側にしても本人にしても、お互いに興味を持てるように良い意味で「もっと話がしたい」と思える場を目指しましょう。
もし好感触を持ってもらえたとしたら、企業側からその場で次回の約束を促されると思います。
逆に興味を持たれなかった場合は「もしご興味あれば人事の方までご連絡ください」となります。
基本的には今時点では本人側に決定権がありますので、即答しても良いし持ち帰っても大丈夫です。
6. お礼メールから次回の約束
一応、ビジネスですので面談が終わりましたらお礼の一報を入れましょう。
その流れで、お断りをしたり次の選考に進む約束をしたりすることになると思います。
企業としてはカジュアル面談は選考ではないため、合否の連絡をすることはありません。しかしごくまれに合否をしてくる企業もあるため、そこは非常識と受け取って差し支えありません。お祈りメールも簡略ですませるくらい気を楽にもって大丈夫です。
基本的には企業はカジュアル面談の次に進んでもらいたいですが、一方で断りできないために別の意思表示をする企業もあります。たとえばお礼メールが遅い場合はアンマッチである可能性が高いです。 単純にレスポンスが遅いだけの場合もありますが、そういった方とは入社後も苦労する可能性が高いのでどちらにしてもこちらからお断りしてしまって差し支えないと思います。
質問チートシート
カジュアル面談ではほとんどの場合で似たような流れになり、似たような質問が飛び交います。
ですので、私が実際にしていた質問や、聞いておけば良かった質問をまとめました。
開発言語など専門性のものはWebフロントエンド・バックエンド・インフラ・アプリなどそれぞれ違うと思いますので含めていません。
実際には全部の質問を時間内にすることはできませんでしたので、企業側の説明から補完して理解したり、いくつかある選考プロセスの中で聞いたり、面談とは別でメールしてみたりといった工夫が必要になってくるかと思います。
汎用的なチートシートとして、同じ質問を複数の相手にすると統率が取れているかもわかるので繰り返し使ってブラッシュアップしていくとより良くなっていく気がします。
カテゴリ | 質問 | 質問の意図 | 想定解 (OK) |
想定解 (NG) |
偉い人の回答 | リーダーの回答 | メンバーの回答 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
求人の経緯 | なぜこの募集をしているか | 自発的かどうか。潜在的な課題に目が向いているか。 | ○○という(潜在的な)課題があって、いつまでに解決したいから。 | 人手が足りないから。事業を発展させるために組織を大きくしたいから。 | |||
今後どんな組織にしたいか | 現在のチームの特色を理解してるか。会社ではなくチームのビジョンはあるか。 | 全員が同じ回答 | 違う回答 | ||||
求めている人物像は | 具体的にあるか。おそらくそれが顕在的な課題。応募してほしいばかりに目の前にいる人間っぽいことをピックアップしていないか。 | 具体的な回答 | 自走できる人。なんでもできる人。※そんなスーパーマンが欲しいのは当たり前 | ||||
必須スキル | 意外とどこも定まっていない印象。経験がなくてもできそうな気がする勘で雇う企業は評価制度も曖昧である可能性が高い。 | 具体的な回答 | 自発的に勉強できるか。組織を横断してコミュニケーションがとれるか。※定性評価 | ||||
今まで不採用にした人は | NGの指標が言語化できているか。たくさん出る場合は現場にいる人をイメージしている可能性が高い。 | 具体的な回答 | ビジネス観点で機能を作れない人。コミュニケーションが苦手な人。※一般的なエンジニアを語らないで | ||||
温度感 | 本当に人が欲しいのか。目の前の課題を解決するために必要なのか、単に頭数を増やしたいだけなのか。 | すぐにでも※採用活動なくなったら困る | 1年後でも。年間で何名の計画。 | ||||
事業について | 事業ができたきっかけ | 言われたことだけやっていないか。ビジョンがただの合言葉になっていないか。 | 誰がいつ何を解決しようとして企画した。 | 西暦何年から始まったらしい。 | |||
どのようなサービスにしたいか | 言われたことだけやっていないか。ビジョンがただの合言葉になっていないか。 | ビジョン、ヒト、モノ、カネ、多方面からの具体的な回答。※ステークホルダーがなのか、組織がなのか、私がなのか、さらに全員に想いがあるか | ○○のようなサービス。※便宜上分かりやすく伝えた可能性もあるが、オリジナリティの面で疑問が残る | ||||
損益分岐点はいつか | (新規事業の場合)遊び感覚で仕事をしていないか。 | (差し支えない範囲で)こういう計画でいつ頃。 | 今はまだサービスを育てている段階。 | ||||
仕事がどうやって生まれて、何をもって終わりとなるか | 言われたことだけやっていないか。言うだけになっていないか。 | 各担当領域の上のレイヤーの人が言うような回答 | 各担当領域に閉じた回答 | ||||
メンバーについて | なぜその仕事をしているか | 仕事に誇りを持っているか。 | ビジョンを目指しているから。さらに個人的にこうなりたいから。 | 西暦何年に入社して何年目になった。 | |||
実際に働いてみてどのような点で期待を超えたか | そもそも幸せを感じているのか。実は一部の人しか知らない福利厚生があったりする。 | 具体的な回答 | 風通しが良い。何でも言い合える。※誰が誰に!? | ||||
一番評価されている人は誰か、一番評価されていない人は誰か | 一般論に閉じていないか。社員は評価軸を理解しているか。問題児を抱えていることを素直にさらけ出せるか。 | ○○さん | 一般論 | ||||
開発体制 | 開発フローはどうやっているか | 古臭い手法を使っていないか。開発主体で課題が上がっているか。逆に開発が言うことを聞いているか。 | 全員が同じ回答 | それは誰さんがやっていて、あれは誰さんがやっている。 | |||
リモート体制は | ご時世を加味しているか。 | フルリモート or 週何日の出社 | コロナが明けたらリモートを辞めようと思っている。 | ||||
リモートならではの課題は | 一般論に閉じていないか。問題解決しようとしているか。 | 具体的な施策とその効果 | ○○というツールを導入した。 |
終わりに
いかがでしたでしょうか。よほど採用活動自体をはじめて行う企業でない限り、カジュアル面談はだいたい似た流れでことが進みます。
冒頭に申し上げました通り、合否判定をされる場ではないのでお気軽に情報収集の場として活用していくのが良いと思います。
これから転職活動をされる方の少しでも参考になれば幸いです。